| 6月1日(土) 晴れ | ◆このページをとばすときは ここをクリック◆◆◆ |
中日の今日は、楽しみにしていた美術館めぐり。まずは、Inner Harborから3マイル(約4.8km)ほど北にある、Baltimore Museum of Artへと、車で向かいました。美術館のHPで、行き方を調べていたので、迷うことなくすぐ近くまで行くことができました。最後のところで、曲がろうと思った道が閉鎖されており、仕方なく行ける方向に進んだら、ちょっと立派な門があって、中には駐車場がありました。ゲートが作動しておらず、自由に駐車できたので、とりあえず車を止め、すぐ近くであろう美術館まで歩くことにしました。辺りには、レンガ造りの立派な建物がいくつもあり、歩いていた女性に「美術館はどの建物?」と聞いたら、ケラケラと笑われて、「ここは、大学のキャンパスよ。」といわれてしまいました。美術館の敷地に入ったつもりでいた私たちは、実は、隣のJohns Hopkins Universityの中に入ってしまったのでした。最初にくぐった門は、大学の門だったのですね。Johns Hopkins Universityといえば、医学部がとっても有名で、場所柄、FBIものの小説などにもよく登場していますが、医学部はここのキャンパスではないのだそうです。幸い、美術館はすぐ隣に見えているし、週末の今日は駐車も無料ということなので、ここに車を置いて歩いて行くことにしました。
少し歩いたら、すぐにいかにも美術館らしい、The Baltimore Museum of Artの荘厳な建物が見えてきました。ここが正面玄関っぽいのですが、なぜか閉鎖されていて、入口は裏手にありました。Inner Harborの人手から、週末の今日は混むに違いないと思い、早めにホテルを出てきたため、まだ、開館時間の11時にはなっていません。仕方ないので、入口付近をブラブラしていたら、そのさらに奥に庭園があるのを発見しました。
New Yorkでは渇水対策のために全面的に禁止されているので、久しぶりにこういう場所での噴水を見たなあと思いつつ、庭園の中を歩いてみると、Isamu Noguchiなど、名前を聞いたことがあるような有名どころの彫像がいくつも置いてありました。ここは、噴水を挟んで、舗装されている側がWurtzburger Sculpture Garden、土の地面の方がLevi Sculpture Gardenというれっきとした、彫像の展示場所になっていたのでした。建物側には、オープンエアのテーブルがいくつか出ていて、早くもそこでなにか食べている家族もいて、ガラス越しには、開店準備に余念のない美術館内のレストランが見えていました。
庭園内にも、開館を待つ人たちが増えてきたころ、ようやく美術館の入口が開かれました。まずは、さっき、ガラス越しに眺めていたレストランに直行。このGertrude'sというレストランは、どうも有名なシェフがやっているらしいということを、実は、事前にHPで調査済み。週末の今日は、きっと、ブランチのメニューがあるに違いないので、それを楽しみに、朝食抜きで出かけてきたのでした。メニューには、またもや、名物のクラブ・ケーキがあり、1個か2個かの個数を選び、付け合せを2品選べるというしくみ。私は、日替わりのクラブ・ケーキ1個とパスタ・サラダ、フルーツ盛り合わせという組み合わせにしてみました。クラブ・ケーキは思ったより脂っこいということが、昨日の経験からわかっていたため、ひとつだけにしたのは正解でした。しかも、今日の日替わりクラブ・ケーキは「サザン・スタイル」とかで、ちょっとスパイシーで美味しい。添えてあったタルタルソースを着けなければ、昨日のより、ずっとさっぱりいただけました。ちょっと、中華風な味付けのパスタも、新鮮なフルーツも期待以上の味だったので、明るい日差しがあふれる窓辺の席で、気持ちよく美味しいブランチを楽しむことができました。他のものは試していませんが、雰囲気といい、ここのレストランは、ちょっと穴場です。美術館を訪れるのなら、ぜひ、立ち寄ることをおすすめします。
腹ごしらえもしたところで、いよいよ美術鑑賞に取り掛かりました。やはり、この美術館の見どころは、なんといっても、質、量ともに世界有数のHenri Matisseの作品を含むThe Cone Collection。ずいぶん前に、日本に来たコレクションの一部を見たことがありましたが、ここには全部揃っているということで、とても楽しみにしていて、とにかく最初に、2Fにある展示室へと直行しました。
裕福な家に生まれたコーン姉妹は、画家のパトロンになるということに、その財産を費やしました。彼女たちは、マチスの最初のパトロンだったそうで、なので、初期の作品から円熟期の作品まで、多様で豊富なコレクションを形成することができたのですね。展示室の中に、彼女たちの当時の家の様子をCG映像で復元したものがあり、これがなかなか見事でした。ディスプレイ上で、進む方向を指示すると、部屋から部屋へと画面が移り変わって行くのですが、マチスをはじめ、今、美術館に展示してある名作の数々が、部屋の中にぎっしり飾られている様子は圧巻。名画に囲まれて暮らすなんて、これこそ、本当のお金持ちならではの贅沢だと思いました。私たちには許されませんけれど、個人的に家に持って帰って飾りたくなった(!?)作品をご紹介してみます。(『作品名』をクリックすると説明がご覧になれます。)
- 『Interior with Dog』 1934
- (Henri Matisse, 1869-1954)
- 『Purple Robe and Anemones』 1937
- (Henri Matisse, 1869-1954)
- 『Large Cliff with Fish』 1920
- (Henri Matisse, 1869-1954)
- 『La Serpentine』 1909
- (Henri Matisse, 1869-1954)
まだまだ、たくさんの作品があって、とにかく、このコレクションのマチスはすごいです。それから、同じ2Fの展示室では、ちょうど改築工事に伴う移転準備で閉館中のMuseum of Modern Artから貸与された作品をメインに据えた「Cèzanne and the Transformed Landscape」という特別展をやっていました。でも、これは、New Yorkで見たことのあるセザンヌの風景画だったので、あんまり、ありがた味はなし。現代美術も結構充実していましたが、とにかく、マチスのインパクトがとても強くて、それ以外の展示は流して見たような感じになってしまいました。その他で印象に残ったのは、地元の豪華な家から持ってきた食器や家具のコレクションや、そっくりそのまま再現した部屋など。アメリカの美術館はどこもそうですが、地元のお金持ちが亡くなると、持っていた美術的に価値のあるものを、そっくり寄付として受け取ることがよくあります。この美術館でも、それは例外ではなく、家具や宝飾品に加え、もっとも大きな寄付のひとつが、コーン姉妹からのマチスだったということになるわけですね。Inner Harborへと戻る途中に、Mount Vernonエリアに立ち寄って、もう1ヶ所、美術館をハシゴした午後の様子は、続きの後編で。
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